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流鏑馬(やぶさめ)とは、疾走する馬から矢を射る、日本の伝統儀式。
土岐市にある妻木八幡神社では、毎年10月の第2日曜日に、流鏑馬神事が行われます。
この流鏑馬神事は、江戸時代初期の元和9年、妻木城主・妻木家頼が妻木八幡神社に馬を献上したことが始まりだそう。
現在、妻木八幡神社では実際に矢で的を射る様子は見られませんが、子どもたちによって操られる馬が約130mもの長い坂になった参道を勢いよく駆け抜ける姿を見ることができます。
この馬に乗る子どもたち「乗り子」は、妻木地区から応募のあった小学4年〜6年生の男児の中からわずか6名が選出されるのですが、もちろん、馬に乗るのは初めての子ばかり。この流鏑馬神事に向け、7月から練習の毎日が続くそうです。
流鏑馬神事は午後2時半頃から始まるのですが、当日は他にも様々な神事が行われます。
町内から奉納された“花馬”と呼ばれる背中に飾りを乗せた馬を、男性が操りながらが坂道を駆け上がるのと同時に、神楽殿では地域の繁栄と健康を祈って、巫女さんがお神楽を奉納します。こちらで巫女を務めるのは、地元の小学生の女の子たち。巫女さんの舞う姿も、小学生とは思えないほどの雰囲気で、ついつい見とれてしまいます。
本殿での神事が終わると、武者行列が行われます。武者行列では、大人に混ざって地元の園児たちが手作りの鎧兜を身に纏い、その愛らしい姿に心がほっこり。その後、本殿から神輿が下ろされ、参道の中ほどにある「御旅所」へ。ここから神様は流鏑馬を見られるのだそう。
さぁ、いよいよ流鏑馬が始まります。
明治時代以降の衣装である陣笠・陣羽織を身に纏い、馬にまたがった6人の少年たちが参道へ入ってきます。見ているこちら側にもその緊張が伝わり、会場は異様な雰囲気へと一変します。
名前を呼ばれると、子どもたちは声高らかに雄叫びをあげ、一気に馬が走り出します。
片手で手綱を握り、もう一方の手には鞭を取り、馬に振り落とされまいと、その小さな手で必死に喰らいつく子どもたちの表情。会場は10,000人を超える観客や関係者が見守っていることもあり、馬も興奮状態。それでもそんな馬を恐れることなく操る雄姿に、会場も一気に湧き上がります。
そして、馬が無事に坂を駆け上がると、会場は大きな拍手と歓声に包まれ、「よくやった、よくやった!」と、子どもたちを讃える声があちこちから聞こえてきます。
もちろん、誰よりも心配そうに見守っているのは、彼らの親御さんたち。喉が枯れんばかりの声援を送り続けているその姿には、こちらも目頭が熱くなります。
流鏑馬の後半には、乗り子が装いを新たに登場。顔には化粧をし、花笠と五色の布を纏っています。これは江戸時代の文書をもとに再現した装いなんだそう。先ほどまでとはまた違った子どもたちの雰囲気に、より一層会場の雰囲気も熱くなってきます。
すべての馬が走り終わると、会場からは大きな拍手が鳴り止みません。それもそうですよね、これだけの雄姿を見せられて、熱くならないわけがないですから。一地域の行事なのに、これだけの観客が集まる理由が、この時わかった気がしました。
子どもたちの勇壮な姿と、地元住民の手によって守られてきた歴史あるお祭り。
ぜひ一度みなさんにもこの興奮と感動を体感してもらいたいです。
目の前で繰り広げられるすべての光景に、胸が熱くなります。
会場 | 妻木八幡神社 |
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住所 | 土岐市妻木町3051-1 |
TEL | 0572-57-6441 |